43キロもあるゴールデンレトリバーの火葬を致しました。
40キロ超える犬ちゃんの火葬は、年に何回もある訳でもありません。
実績としては、15件ありますが最近40キロ以上の火葬をしたのは、昨年の11月28日以来13ヶ月ぶりの大物のペット火葬になります。
今回のゴールデンレトリバーは、体長が1メートルあると電話で飼い主さんが言っていましたのです。火葬炉の受け皿が1メートルですので一杯の大きさでした。
ペット火葬炉は、人間の火葬炉と比べるとやはり小さいのでこの大きさ以上ですと火葬しながら出てきた脂分が火葬炉の下に垂れてしまって大変臭いにおいが発生してしまいます。
私たちの火葬車は、ギリギリでも脂分が漏れないように炉台の脇のボーダーの部分に外に脂分がこぼれずに受皿内に戻っていくように炉台を改良しています。
又、40キロ以上のペットちゃんの火葬は脂分の量がどの位あるか検討が付かないのが現状です。その為、火葬時間については最高270分も掛かってしまった事もあります。
又、知り合いの業者の火葬車での火葬を指導した時に60キロもありましたので、火葬自体は120分で終わったのですが、あと240分も脂分の燃焼が終わらずに合計360分も時間が掛かった事も体験しています。
その為、あらゆる場面を想定して時間が無制限に使えるように火葬時間の設定も16時30分から5時間(300分)を予定して火葬に取り掛かりました。
この5時間の火葬時間ですと発電機のガソリンがなくなってしまう場合もありますので予備のガソリンタンクも持参して火葬に臨みました。
当然、過燃焼で煙が止まらない場合も想定しなければなりません。
その為の、燃焼防止装置の点検や準備運転も行いました。
それと同時に、過燃焼が起きないように火葬台のマットの取替やその下の台の取替、受け皿の清掃と準備を確りと行い過燃焼が起きないような今までの経験と改良をもとに出来る準備はすべて行って今回の43キロの火葬に臨みました。
その為に、もう一匹依頼があった25キロの大型犬の火葬はお断りしてその準備に掛かりきりになりました。
こうして、準備を整えて13時からのお客様をお迎えです。
お客様のトランクに寝かせてあるゴールデンレトリバーちゃんを霊園のトレーに載せ替えて礼拝所へ安置してお葬式から始めさせていただきました。
トレーの上に載っているゴールデンちゃんはとても大きかったです。
本当に43キロかと疑いたくなるような大きさでした。お客様も「この子はグレートピレニーズなどと一緒にいても決して引けを取らなかったです。」とおっしゃっていました。
通常の大型犬の平均は、24,7キロです。30キロ以上になると大きく感じますが、30キロ台と40キロの大きさの違いはこんなに違うのかと思わせる大きさでした。
礼拝所でのお葬式も終了してから、火葬炉に載せましたが男2人と女性3人で持上げてやっと載せることが出来ました。
それにしてもお顔や体が大きくて火葬台の中でもう余す余地がないほど一杯でした。高さも炉口の上から10センチは余らないほどの大きさでした。
これは、脂分が多くて凄い時間が掛かるかもしれないと一抹の不安が感じられるペットちゃんなのです。でも「十分な対策をしているので大丈夫。」と胸に言い聞かせてお花でいっぱいに飾ったゴールデンちゃんを火葬炉に納棺させていただきました。
火葬は、どんな事があっても迷惑が掛からない安全な場所で行いました。以前お手伝いした60キロのゴールデンちゃんもこの場所で行いました。その時知合いの業者も「この場所は最高ですね。こんなにいい場所があれば安心です。」」と言っていました場所での火葬です。
43キロのペットちゃんですから、通常付けない煙突も確りつけて行いました。夜になりますので煙突からの赤い火柱が少しでも隠れるように配慮の為です。
火葬準備点検をもう一度行ってから火葬開始です。今回の火葬は最高難度のs−27、m−30の準備です。火葬開始は16時40分。
開始して順調に進んでいます。10分後一次燃焼室の燃焼スイッチを切って過燃焼にならないようにいたしました。
しかし、10分後の17時に燃焼が過燃焼になり始めたので緊急燃焼防止を行いましたが、外で見守っていたスタッフから煙突から火柱が出るのを確認して伝えてきました。
それも一瞬でした。緊急に燃焼防止装置を使うとその時は煙突から火柱が立つのは分かっています。でもそのお蔭でこの一番初めにおこる過燃焼の危機を脱出いたしました。
火葬してる方は、分かっていますが火葬始めて20分後に煙突から行き成り火柱ですから通常はビックリしますよね。
炉内は、体内から出た脂分が受け台の上のマットの上を流れています。通常はこのマットが吸収して燃え上がらないのですが、脂分の量がものすごい量なのです。マットの上でジュクジュクと脂が泡立って燃えています。
体中から下たち落ちている感じです。
以前50キロのボーダーコリーちゃんもそうでしたので嫌な感じでした。
その後、黒煙防止装置の稼働も開始させて燃焼を抑えながら火葬を続ます。
先程の火柱は火葬炉内の燃焼が急激に上昇して750度まで上がってしまったので止めたためです。
燃焼防止装置と黒煙防止装置の稼働により炉内の温度も540度まで下がり、これからは自然に燃え上がる温度を一定値に抑えながらの温度管理をしながらの火葬です。
540度まで下がりましたから黒煙防止装置のw3からw1へ落として自然燃焼させていきます。630度になったら燃焼を防止して、又自然に温度が上がっていくのを待ちます。
過燃焼防止温度の設定を630度で行い、630度で燃焼防止を使って燃焼温度は680位まで上がったら下がってくる炉内の燃焼カーブを取るように行っていきました。
5回このサイクルを回してその後、設定を700度、800度と上げていきます。
800度で防止装置を稼働させたのが17時36分です。火葬開始してから約1時間が経過しました。
炉内の遺体の大きさも30%位に小さくなってきています。
これから本格的な燃焼の開始に掛かりますが、もう一段階900度での燃焼防止をする計画を立てて燃焼に入りました。
当然今まで切っていた1次火葬炉の燃焼バーナーも点火して火葬に入りました。一次バーナーの点火は17時50分。これからどの様に炉内の燃焼が進むかじっくりと見ながら進めていきます。
順調です。900度での燃焼防止は取りやめてました。炉内が非常に良い形の炎になってきています。そのまま進めました。18時8分に1077度まで上がりましたので1次バーナーを再び切って燃焼防止を行いました。
一旦1085度まで行った温度が18時13分に1018度まで下がりました。そのまま自然燃焼を継続して18時20分自動燃焼に切り替え燃焼を加速させました。
このあたりから、受皿に溜まった脂分の燃焼が気になり始めました。
燃焼台の脇から下に溜まった脂分の燃える炎が凄く大きくなっています。1000度を超えると下に溜まった脂分の燃焼が促進されます。
18時40分本体の火葬は終了いたしましたが、これからは受皿内の脂の燃焼との勝負です。この火葬炉は受皿内の燃焼が促進されるように改良してありますが、何せ直接炎が当たらないのでこの高温での燃焼が勝負となります。
左の脇からの炎が凄い勢いて上がってきました。また右からの炎は覗き窓に向かって来るように燃焼しています。
本体燃焼終了から40分経過して脂の燃焼が終了です。時間は19時20分でした。
火葬時間は160分間。300分の時間を準備して火葬に入りましたが、40キロ以上の通常の火葬時間130分より時間が掛かりましたが、何とか2時間40分で火葬が終了したことになります。
さて、火葬炉を開いてみると今回のあの大きな体には似つかないようなお骨の量でした。
やっぱり超肥っていたのですね。骨壷に入れた量は6寸に骨壺に7分目程で量的には凄く少ないお骨の量です。
このゴールデンちゃんは、お骨全体が凄く脆かったです。また重症の歯周病にかかっていたのでしょう、お鼻の所から前がグズグズで頭のお骨も凄く脆かったです。キッと肥っていたので糖尿などから骨粗鬆症に掛かっていたのかも知れません。
受皿に溜まった脂分の燃焼が早く終わったのは、今回特別に炉内に溜まった脂分が燃焼しやすいように台座のしたに鉄筋の太い棒を敷いてその温度で溜まった脂分を燃焼促進させる事が出来るようにしたせいなのでしょう。
130分と言う時間で火葬開始間際に一度煙突から火柱が立ちましたが、後は全く問題なく終了する事が出来ました。これも今までの蓄積した経験と火葬炉内の色々な装置の開発と試行錯誤の中で試してきた諸々の方法があったからこそ出来たものだと思っています。
翌日お骨はお渡しいたしましたが、そのお客様も「この大きなゴールデンレトリバーを火葬してくれる所がなくて困っていました。」と言っていました。
久しぶりに大物の火葬でしたが、これからもこの様な大物は珠にしか来ないと思いますが、万全の態勢で確りとした火葬を継続していけるように炉の改良や新たな安全な火葬方法の開発に勤めていきたいと思っています。