柴犬の11キロの火葬でしたが、その柴犬ちゃんは何と肥満細胞腫の犬ちゃんでした。
通常の11キロの柴犬は、火葬自体はそんなに大変ではありません。本日も「チョッと大きいけれど柴犬ですから、全く問題ない。」と思っていお待ちしていました。
火葬の準備があるので、礼拝所で柴犬ちゃんを拝見してから準備を完了しました。
11キロからある犬ちゃんは、筋肉質の柴犬ちゃんでも当然S火葬の準備をして臨みます。
万が一、脂肪質の柴犬ちゃんですと困るからです。
こうしてS火葬の準備をして臨めば全く問題ないのが今まででした。
火葬する前に、スタッフから肥満細胞腫の柴犬と聞いて「ビックリ。」です。でも大丈夫確りと準備を万端にしているから。
火葬炉に連れて来た柴犬ちゃんを見て、肥満細胞腫が直ぐに分りました。下腹部の所が腫れているように大きくなっています。
そして、体つきもやっぱり通常の柴犬ちゃんとは違ってお腹も大きくて体も大きく見えます。通常の柴犬ちゃんは筋肉質なので体は小さく見えても体重がありますが、この柴犬ちゃんはやっぱり肥満細胞腫というだけあって体全体がふっくらとしています。
火葬始めてからその脂肪体質が徐々に炉の中の火の勢いで出てきました。
脂が浮き出て来て、ポタリ、ポタリからボタ、ボタ、ボタ ボタボタボタと変わってきます。
こういう肥満体質の犬ちゃんは、じっくりと脂だしをしてから燃焼に入らなければなりません。最近は、この脂だしをしてから火葬する機会が減りました。
10キロを超える犬ちゃんの火葬は、今は大型火葬車で火葬しています。その為に10キロや20キロの犬ちゃんでは脂出しをしないで直接燃焼に入っています。
それで、全く問題がありません。
この脂出しをする技法は、大型火葬車を導入していない時に学びました。
それが、こうして今でも火葬炉の中の状況を見ながら、「この場合はこうした方が良い。」「こうなったらこうしよう。」と色々な火葬方法が複合的に判断で来て問題が起きないように対処できます。
今回も、脂が凄いのでS火葬で準備していても安全の為にこの脂だしをしてから燃焼に入る事に致しました。
脂出しは、500℃から600℃位で温度を上げないようにしながら犬ちゃんの体の中からでてくる脂分を絞り出す方法です。
こうする事に依っていっぺんに網の上の遺体と遺体の脂に火が付かないで済むので燃え上がって黒煙が出るのを防げます。
火葬時間は、思ったより短くて65分でした。
下腹部の所の腫瘍の部分が燃え終わったかどうかの確認に手間取って10分ほど長く火葬時間を取りましたが、この65分で綺麗に火葬が終了しました。
火葬したお骨には、お尻の廻りに大きな癌がありました。
「随分大きいのがありましたが火葬するとこんなになるんですね。」「喉仏がすごいですね。」
カプセルに犬歯、尻尾、爪の骨を入れてお持帰り戴きました。「ありがとうございました。」と丁寧に挨拶してお帰りになったことが印象的でした。
それにしても、以前使った技術はいつでも発揮できる事に自信を持った今回の火葬でした。