「すずめの火葬お願いします、立会で夜が良いんですが何時頃まで大丈夫ですか?」というお電話をいただきました。「20時までの予約なら大丈夫ですが、19時以降は夜間割増が3000円掛かります。」
「日野市ですが、こちらに来て貰いたいです、19時予約で立会火葬のみでお願いします。」とご予約のお電話を受けさせていただきました。
火葬場所は、お宅から200メートル位離れた電車通りの賃貸駐車場です。まだ雪がいっぱい残っていました。
そこで、小さなすずめちゃんを火葬炉に寝かせて小さな可愛いお花と餌で廻りを飾ってお別れです。最後に羽をナゼナゼしてから口づけをしてお別れしました。
火葬炉に載せる前に「野鳥の会に、すずめのヒナが巣から落ちてしまっています。そのすずめを保護しています。暫く預かって治療をさせたいと思っています。」と連絡を取り了解を得て保護していました。
それから、中々手放せなくて6年が経ってしまったそうです。
今では、「本当に無くてはならない家族の一員になりました。亡くなってしまって非常に残念です。」と漏らしていました。
確りとお別れをして火葬炉の点火を見届けました。
寒い中を、ずっと傍にいて離れず火葬を見ています。片時も離れたくない気持ちなのでしょう。
今日の夜は冷え込んでいます。
火葬炉の温度が中々上がりません。点火してから100℃まで通常は直ぐに上がるのですが、外気温が低いのでしょう。
すずめちゃんのまだ体が燃え始めの重たいうちに火葬炉を高燃焼で温度を上げることにいたしました。500℃まで上げてから、又元の低燃焼で火葬を継続しました。
高燃焼ですと、中の風圧も強くなりますので、すずめちゃんの頭のお骨が飛んでしまう恐れがある方です。でも、すずめちゃんは頭を持上げている格好で燃えています。
火葬中のすずめちゃんの形としては、良くない形で燃えています。
このまま行くと、首のお肉が燃え尽きた時に頭のお骨が下に落ちで転がって飛んでしまわなければいいのですが。
傍で見ているお客様に、「小さなペットちゃんの火葬で頭のお骨が風圧で飛んでしまう事があります。」「今回もチョッと心配しています。」と伝えると「それは、まずいよね。」と一言。
そんな心配をしながら、時間を置いて中を確認すると案の定下に落ちて転がっていましたが、2センチ位転がっただけでお布団の上には確りと載っています。
「ああ、良かった。」
ホットした気持ちで、見ているお客様に伝えました。「ご心配させて申し訳ありませんでしたが、チョッと転がりましたが、飛ばずに頭のお骨が無事にあります。」と。
何回か、何回か確認して火葬は終了しました。
火葬時間は、25分間。
「この蓋を開ける時が、飛んでしまう可能性がある時です。」と言いながらチョッと開けて空気を少しずつ中に入れてから蓋を開けました。
その瞬間を、瞬きもせずに見ていたのでしょう。「良かった。綺麗に残っている。」
「あれって、頭にクチバシモ付いている。」と奥さんが喜びの声をあげました。お骨は真っ白でとても綺麗でした。
火葬炉から、お布団のまま出してトレーの上に載せてお客様に見て貰いました。
夜間ですが、照明もたっぷりと付いてますので良く分かります。お客様は屈んでトレーの所に覗きこんで良く見ています。
「これって足ですか。」「これは翼。」と一々お骨の各部署を確認しています。
足のお骨を一緒に持って、すずめちゃんが早く天国に行けるように「橋渡し」の儀式をしてからお骨上げを開始です。
背骨を持つと他のお骨も一緒について来てそのままの形で入れることが出来ました。
又、頭のお骨もクチバシの付いているままの形で骨壺に入れることができました。通常はクチバシは頭のお骨と離れてしまう事が多いのですが、本当に上手くお客様が入れることが出来ました。
その瞬間です。
お客様がスタッフに握手を求めたのです。余程嬉しかったのでしょう。握手をされたのは初めてです。
この寒いさなか、火葬中ずっと火葬炉の脇で見ていて、お骨上げをして感激だったのでしょう。
こちらも、綺麗な火葬が出来て、満足です。
こうしてお客様が思っていた以上の火葬が出来て、喜ぶ姿に接しられて充実感に溢れたすずめちゃんの火葬でした。