朝一番のお客様の火葬は、ビーグルちゃん11.6キロでした。
ビーグルちゃんって火葬は中型犬の内で最難関の火葬です。今は大過なく遣ることが出来ますが、過去に大失敗したことあり慎重な火葬が求められます。
ですから、今でもその教訓が生きていて常に火の燃え具合に注意して火葬をしています。今回のビーグルちゃんも少しお腹がタップンタップンしているので要注意です。
又、ビーグルちゃんは毛が短くて火葬炉の中で滑りやすいのも特徴です。今回も火葬する前に点検すると前の方に動いてきていました。
火葬場所に着いてから必ず正常な位置に動かないでいるかの確認も必要なのです。
確りともとの位置に戻してから点火させて戴きました。
火葬開始直後は、どんな犬でも頭の位置が動きますので上手く頭の位置を直してやりながら火葬をコントロールします。
そして次に起こるのは、脂が身体中から雑巾を絞るように出てきます。ここからがビーグルちゃんの火葬の一番難しい場面の始まりです。
このまま一次火葬炉を点火しっぱなしにすると過燃焼が起きてしまい煙突から黒煙が出てしまいます。ある程度の燃え具合に達したら一次を切って送風だけでの燃焼に入ります。
でも,脂の垂れてくる勢いはドンドン増えてきます。火葬炉の中に黒煙が出てきたら過燃焼の始まりです。
このような状況になる前に、強制的に空気の注入が必要です。空気の注入で火葬炉の燃焼温度は上がってきますが,過燃焼は避けられます。
通常は、この空気の注入でそのまま完了する場合が多いのですが、今回はそれを上回る燃焼になって仕舞いました。
中級程度の火葬技術の時は、空気の注入量をもっと増やすか、して対処していたのですが、それには限界があります。
初級程度の腕前の時は、脂が雑巾を絞るように出てきた段階で、空気弁を全部閉めて火葬炉の中に空気が入らない状況にして過燃焼をふさぎました。
初級程度のこの方法は、脂分の少ない犬ちゃんには大丈夫ですが、それ以上の脂分の多い犬ちゃんには対処できません。ですから初級程度の腕前の人が多く失敗してしまいます。
火葬している皆さんこの様な失敗をして、脂分の多い犬の火葬に取り組みをするのです。
そこで、空気の強制的な注入が出来るような機器を入れて腕前がランクアップをするのです。
でも、ここで止まってしまうペットの火葬屋さんも多々いるみたいです。
この様な会社は、犬の種類や体重で制限を設けて「7キロ以上の体重の犬は火葬出来ない。」という会社もあるようにお客様から聞いた事もありました。
今回のビーグルちゃんは、強制空気の注入だけで済むようなビーグルちゃんではありませんでした。過燃焼を始めそうだったので、急きょ火葬炉の温度を下げる方法を取りました。
この方法は、企業秘密です。
この火葬炉の温度を下げる事によって燃焼の勢いも急激に止まってじっくりして火葬することが出来るのです。
25分ぐらい経つと火葬も脂分対策から脱出して本格的な焼却に入ります。
ココからは、高燃焼にしてドンドン燃焼を促進していきます。
燃焼が促進していくと、これから起きるのが、先ほど雑巾を絞るように出てきて火葬炉の受け皿に溜まった脂分の燃焼が始まり炉の脇から炎がチラチラ出てまいります。
これからが、持久戦になるのです。
私達の技術では、この脂分の効率的な燃焼方法を現在開発中ですが、まだ開発出来ていません。
ですから、高燃焼で燃焼しながら受け皿に溜まった脂分が全部燃えきるまで時間を掛けて燃焼させています。
今回もビーグルちゃんの本体の火葬は40分位で終了したのですが、あと25分間受け皿の脂分の燃焼に時間を費やして終了することが出来ました。
今回も、脇から炎が出やすいように脇の方の耐火煉瓦を取ってみましたが、効果は見られませんでした。今度は、炉の台の部分の前側に空気の通り抜けできる穴を開けて火葬に望んで見たいと思っています。
何れにせよ、ビーグルちゃんの真っ白で綺麗な火葬が出来てお客様もご満足いただけたと自負していますが、脂分の多いビーグルちゃんの火葬はマダマダ火葬方法や炉の開発、改良が必要だとつぶさに感じた火葬でした。