大型犬のラブラドールとゴールデンレトリバーのミックスの犬の火葬に見えられました。
2月にも大型犬のゴールデンちゃんの火葬をしているリピータのお客様です。今回も大勢の人数でした。
30キロは行っていないとお客様からのお話でしたが、連れてきた車のトランクの所に寝ている姿は、40キロはあるだろうという丸々と肥った様相で寝かせてありました。
それを見た一瞬は、ギクリです。
「あれ・・・・。」「凄い大きい。」と感じました。
お客様は「大きく見えるのですが、体重はそんなにありません。」と言いましたが、どうしてもそのように見えないのです。
トレーに載せてから礼拝所に運ぶ段になって持上げてみると、お客様の言うようにあまりズシリと来ません。
礼拝所についてから、体を擦ってやりながら押してみると特に首の廻りがブクブクと手が沈んでいきます。これは、如何したことでしょう。
お客様のお話では、飼っている大型犬が4匹喧嘩をしてしまったそうです。
その結果、亡くなったそうですが、他の3匹もいっぱい怪我をしているそうです。
お話を伺うだけで恐ろしく思いました。
この大きな大型犬同士が喧嘩を始めたら止めようがありません。
「首の所を咬まれて死んでしまいました。」と言っていましたが、そんな恐ろしい喧嘩をどの様にして治めたのでしょう。
想像して見ても「ゾー・・・。」とします。
結果は、3頭が怪我をして1頭が死んでしまったのです。
首の所を咬まれて死んでしまったと言っていたので、首の廻りは内出血した血が一杯たまっていてブヨブヨしていたのでしょうか。
体つきもパンパンに張っているのです。
30キロ未満の火葬体制で火葬炉を整えていましたが、急きょこのブヨブヨが脂だとしたら大変です。至急にもっと重たい大型犬の火葬が出来る様な仕様に火葬炉を整えて火葬する事に致しました。
礼拝所で、お経を読んでお葬式を挙げてから火葬炉に運びました。
やはり大きいです。火葬炉にいっぱいになりました。お花や食べ物、お手紙を入れてからお別れです。
皆様、無言で体をサスってお別れして出棺を見送りました。
大型犬の火葬は、霊園ではしていません。近所の事も考えて15分ほど離れて迷惑の掛からない場所に移動して火葬して戻って来ることにしています。
今回も、火葬炉を閉じてお見送りを戴いて出発させていただきました。
火葬開始する前に、もう一度犬ちゃんの位置を確認してから点火をしました。
車で走ってくる間に、大事な犬ちゃんが動いてしまったとしたら大型犬の場合は、取り返しがつきません。
火葬中にチョッと動かすことは出来たとしても、ほんの僅かです。大型犬が火葬炉の脇の方にずれてしまった場合はもう動かすことが出来ないからです。
今回確認して見た所、寝かせた状態のままで動いていませんでした。その為すぐに火葬炉に点火をして火葬を開始いたしました。
今回もS火葬を行っていますので、火葬開始してもすぐに燃え上がることはありません。
しかしながら、この大型犬の犬ちゃんは背中に火があたるように寝かせてあるのですが、火があたり始めると頭をグッと上にそれ反らせ始めました。
これは、どのペットを火葬しても起こる現象ですが、大型犬の場合はこの首の反りを停めておかなければ綺麗な火葬するのに邪魔になります。
と同時に、火葬し始めて炉口から噴出している火をこの頭が前に伸びてくることに依って止めてしまう恐れもあります。
ここ数分間は、大型犬との力勝負になります。
火葬炉の火が回って首の筋肉を焼いてくれると頭の反りは止まり、今度は前の方に戻って来てくれます。
この戻った姿勢が頭の中を綺麗に燃え尽くしてくれる一番いい姿勢なのです。
火は、ドンドン強くなります。
40キロもある大型犬でしたら、通常首の所から始まって後ろに向かって脂が噴き出してきます。そしてその脂がボタボタと滴り落ちる数がドンドン増えて早くなってきます。
しかしながら、この大型犬ちゃんは、そんなことにならずに静かに燃え続けています。
やっぱりそんなに体重がない証拠です。持った感じからもこの燃え方にしてもお客様の申告通りの体重なのでしょう。
こうなると緊張していた雰囲気が一気に緩んで来ます。
「ああ、良かった。」と安心させられました。これからは29キロ位の火葬するときと同じように一気に火葬をしていく方針に変えて火葬を継続いたしました。
この時に、もしも脂がボタボタと滴り落ちる数が増えてくると途端に脂の絞り出し作業に移るのです。今回はこの油の絞り出し作業を省いて一気に燃焼に入っていく事が出来ました。
火葬炉の中は、ドンドン燃えています。火葬炉の燃焼のスウィッチは高燃焼にしていますので、火の吹き出し口からは強い炎がドンドン出てきます。
火葬炉の中は、S火葬の仕様にしているので強烈に燃えているのですが、全く黒い炎等でずに、綺麗は赤い火で充満しています。
ここで、この勢いて燃焼を続けて行くと必ず起こる過燃焼に対応するために強制空気の注入も軽く始めました。
外に出て火葬炉から出ている排気の状態も確認しましたが、全く透明な排気が出ているだけで全く問題ありません。
この火葬炉は、いくつか欠点があります。
この欠点の第一は、強制空気の注入をした場合火葬炉の脇から煙が漏れ出てしまう場合があります。
この火葬炉は、メーカーで2番目に作った火葬炉だと聞いています。その為、未だ色々と欠点があるのです。その欠点の第一が気密性の欠如です。
その為に、空気の入れる角度に依っては脇から煙が噴き出てくることがあります。私達もその欠点を改善する方策を色々試して炉の改修を行ってきましたが、完全に直すことはできませんでした。
でも、炉内の燃え具合によってどの角度から強制的に空気を注入すると煙が漏れてしまうのかを回数を重ねるたびに分かるようになり今では、空気の入れる角度も固定してきていますので、その問題も克服しています。
火葬はドンドン進みました。
殆ど終り掛けてから気が付いた点があります。それはこの大型犬ちゃんは体が大きいと言う事です。
体重は、体の体積からするとないのですが、この大きさに依る体積が大きいことに気が付きました。
火葬時間も「1時間ほどで終わるかな?」とタカを括っていましたが、中々終わらないのです、特に後ろのお尻の部分に燃え残りがありその部分が赤くなって残っています。
暫く、覗き窓も閉じて中の燃焼も火が回るようにして火葬を継続しましたが、少し経ってからのぞいてみると未だ燃え残りがあります。それにしても威勢よくそのお尻の部分だけ炎が上がっています。
やっぱり、見た目と同じで体積はいっぱいあるから燃え尽きるのが大変なのです。
その部分の赤い炎が小さくなったので、今度は細い管から強い空気を注入してその部分の燃焼を促進する事に致しました。
ドンドン燃え残りが小さくなってくるのが分かりますが、会い変わらず燃え残りがあります。この作業を20分間ぐらいしてやっと火が無くなってきました。
ここで火葬は終了です。
火葬時間は1時間25分間かかりました。
火葬車がペット霊園に戻るとお客様は待っていたかの様に、いつもの火葬炉を開ける時に見学できる場所でこちらの動きを見入っています。
蓋を開けて炉台を外に出しますと、その温度によって熱気が広範囲に拡散されていきます。お客様が見ている場所にもその熱気が伝わっているはずです。
今回は、お客様は無言で見入っていました。
大型犬同士が喧嘩して首を咬まれて死んでしまったのですから首の廻りがどの様になっているかも興味深々なのでしょう。
火葬炉から網のままトレーに移して礼拝所に運びました。
運んでからお客様に肺に腫瘍があることを告げましたらビックリしていました。
喧嘩して首を咬まれたので心配していた喉仏は白くて綺麗で確り残っていました。足もかまれたようでお骨が血の色で茶色かったです。多分かなりの出血があったのでしょう。
お骨上げは、淡々と行いました。
そこで、「35キロぐらいのもいます、それは6寸じゃあ入らないね。」と言っていましたが今回の犬ちゃんでも6寸の骨壺にいっぱいでした。
お帰りは、大事な大型犬ちゃんを胸に抱いてお帰りになりましたが、他の傷ついた犬ちゃんたちも心配です。丁寧に「ありがとうございました。」と言ってお帰りになりましたが、後の犬ちゃんたちが元気に回復する事を願っています。
お気をつけてお帰り下さい。