昨日の最終の火葬で、ボストンテリアの火葬を致しました。
クッシング症候群の体重は5キロで8歳のボストンテリアちゃんです。
「目が閉じないんです。」と言いながら礼拝所に連れてきました。「閉じてみますね。」と言っていつも遣っているように下あごに親指を添えて人差し指から小指までを使っておでこから鼻の部分のお肉を下に下げて見ました。
通常ならすぐにおでこから鼻の部分のお肉が下がってきて目を閉じることが出来るのですが、このボストンテリアちゃんは様子が違います。
おでこからお鼻に掛けてのお肉が下に下がらないのです。
「あれ・・・。」と言う感じになりました。それでも目の所の瞼の部分を下に下げて目を閉じてやりましたが、すぐ開いてしまいました。
目を閉じてやるのは失敗に終わりました。
受付を終えてからすぐにお線香だけ上げてお葬式をして火葬炉に載せてお花で飾って点火を見届けて戴きました。
火葬時間は、45分間。
火葬したお骨を見てビックリです。
燃えカスがお骨の上に被ってしまってお骨が見えない状態です。
背骨の外にお花の燃えカスみたいでチョッと固まっている様な変な燃えカスがあります。
肩甲骨も燃えカスの下に入ってしまって良く分かりません。
首の下からこの燃えカスが一面にお骨を覆ってしまっています。お腹の部分の上まで全体的にこの燃えカスがあります。
又、背骨の内側にも燃えカスが残っていて、おながの部分を除いて背骨から骨盤の部分まで燃えカスが残っています。
何でしょう。
手に取ってその燃えカスを調べて見ると、少し硬くて手で潰すとサラサラになって灰みたいに下に落ちていきます。
中には、ガラス繊維のような細長いものもあります。
何でしょうね。この燃えカスたちは初めて見る感じの燃えカスです。
それにしても酷いです。これが一面にあるのです。
肩甲骨や肋骨等はこの燃えカスたちに隠されてしまって掘り出さないと見ることすらできません。
腎臓の部分に目をやると1センチから2センチ位の大きさのこげ茶色の塊が二つあります。これは直ぐに腫瘍だと分かりました。
お客様に「腎臓に腫瘍があります。」と言うと頷いて「クッシング諸侯郡なんです。」「このクッシング症候群には腎臓に腫瘍が出来やすいのです。」言うのです。
私達は、クッシング諸侯郡と言う言葉を聞くのも初めてです。
でも、腎臓の部分の背骨も肩甲骨のしたからお骨が細くなっていてボロボロのお骨になっています。
骨粗しょう症の感じのお骨です。
燃えカスが一面にあり、背骨は腎臓の辺りで細くなりボロボロの状態が下に続いています。
唯、頭や喉仏、肩甲骨そして下に行って仙骨、骨盤、大腿骨などは確りとしています。
これがクッシング症候群なのでしょうか。
頭が大きくてもしかすると4寸の骨壺に入らないかと心配していたのですが、このお骨の少なさから見て4寸で大丈夫だと直感で分かるほどです。
個別一任火葬の持帰り火葬でしたが、サービスでこの状態のお骨をお客様に説明してや理ました。そしてスタッフがお骨上げをして4寸の骨壺に楽々入ったお骨をお客様にお返ししてお持ち帰りしていただきました。
こんなに内臓がいっぱい残ってお骨が見えなくなってしまう事があるのですね。ビックリです。
通常ならこの燃えカスに当る部分は、綺麗に燃え尽きてしまって残らないのですが、こんなに残るのですから。
火葬時間が短いことはありません。
十分に時間を使って火葬も行いました。でもその結果はこの様な燃えカスだらけの火葬になってしまいました。
お客様も、お医者様から言われていたのでしょうが、腎臓の所に2つも大きな腫瘍が見つかり納得していました。
今回は初めてクッシング症候群のボストンテリアを火葬いたしましたが、本当にびっくりした火葬になってしまいました。
お客様は、納得顔でお骨を確りと胸に抱えてお帰りになりました。
お見送りをするとワザワザ窓を開けて「有難うございました。」深々とお辞儀をして貰いました。
ほんとにびっくりした初めてのクッシング諸侯群の火葬でした。
犬のクッシング症候群に付いての記事を入れて置きます。
クッシング症候群には医原性と自然性のものがあります。ステロイドを3ヶ月以上飲ませている子では注意が必要です。お腹が膨れる、毛が薄い、ハアハアいう呼吸が多くなったなどの症状に加えて”多飲・多尿”という症状が現れたら要注意です。
★クッシング症候群ってどんな病気?★
クッシング症候群は別名「副腎皮質機能亢進症」と呼ばれています。腎臓の上にある副腎の中の、副腎皮質という内分泌腺の異常によって、そこから出る副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が多量に分泌されることにより起こる病気です。副腎は生きるためにとても大切な器官なので、その異常は体に大きな影響を及ぼし、さまざまな変化を与えます。この病気は症状に特徴があり、ビール腹のようにお腹が膨らんだり、左右対称の脱毛、皮膚が弱々しくなる、多飲多尿、活発でなくなり寝てばかりいるなどの体の変化が起こります。
しかしお腹が大きくなったのは太ってきたから、脱毛は年をとってきたから、など飼い主さんが勝手に思い込んでしまうことも多く、この病気に気づいた時にはだいぶ病状が進行していることもあります。そしてさらにその状態が続くと、感染症にかかりやすくなる、糖尿病、高血圧症、心不全、行動の変化や発作などの神経症状などを起こす場合もあり、命の危険を伴います。
★どうしてこの病気になるの?★
副腎皮質ホルモンを出しなさいと命令する「副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)」が分泌される脳下垂体や、副腎自体に腫瘍があると、副腎の機能をコントロールできなくなり、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の分泌が多くなります。これを『自然発生クッシング症候群』といいます。また、副腎皮質ホルモン薬を薬として過剰に長期間投与していることが原因で副腎皮質ホルモンの量が多くなる場合を『医原製クッシング症候群』といいます。いわゆる腫瘍などによる異常で起こる副腎の本当の機能亢進は『自然発生』で、副腎の機能低下のため薬を飲ませることで副腎皮質ホルモンの量が多くなり起こるものが『医原性』なのです。特に医原性クッシング症候群の場合はアレルギー疾患など長期にわたり副腎皮質ホルモンを飲ませている子に多い傾向があります。
http://www.petjpr.com/column/news-bin/Detail.cgi?CatgM=11&rgst=00000133