今日の猫ちゃんの火葬は、ご近所の奥様からお電話を受けての予約のお客様でした。
お宅に伺うと紹介者の奥様と依頼者の奥様がいらっしゃいました。
まずは、事務処理ですが「お願い、やって頂戴。」と依頼者の奥様が紹介者の奥様にお願いいたしました。
紹介者の奥様は、「分かった。」と言って申込書を書き始めます。
依頼者ご本人は、とても字を書ける状態ではないのでしょうか?居間の猫ちゃんのいる場所にもいられない様子です。
事務処理の後に読経のサービスもするのですが、「お経出来ますが、如何しますか?」と聞くと「いいです。」と紹介者の奥様が言われました。
じっとお経を聞いている状態でもなさそうです。
事務処理が終わるとすぐに火葬炉に連れて行くのですが、ご本人は猫ちゃんを抱っこしたまま中々外に出てきません。
あれ程動揺しているのですからすぐには来られないと少しの時間ですから待つことに致しました。
猫ちゃんを抱っこしえて毛布に包んでいらっしゃいましたが、この毛布も一緒に火葬して欲しいらしいです。
「この毛布は、火葬出来ません。」と優しくお断りして他のタオルや食べ物、お花を飾ってお別れです。この頃には、ご近所の皆様も家から出て来て一緒にお線香を上げてお別れを致しました。
この地域では、いつもこの様にご近所総出でお見送りをしているのかもしれませんが、とても皆さん猫ちゃんの所で手でさすりながらお別れをしています。
所が、当のご本人は火葬炉から離れてそれを見守っているのです。
「それでは、宜しいですか?」と言って火葬台を炉の中に入れるためのスタッフが声を発すると腰をかがめて又、猫ちゃんの所へ門柱を手で触りながら近づいて来ています。
引っ込み思案の奥様なんでしょう。
でも、もうこれっきりと思ったのでしょう、腰をかがめて猫ちゃんを擦っています。寂しいのでしょうか、辛いのでしょうか。じっと我慢をしているのが良く分かります。
「うん。」と頭を下げてお別れは終わりました。
火葬炉の中に猫ちゃんが納棺されて点火の準備が完了しました。
点火の時には、皆様煙突を見ながら手を合わせています。
ご本人のお婆ちゃんは、煙突から出てくる排気の状況も見られない様子です。
ご近所の皆さんのお力で点火まで持ってこられました。
ここで、お客様の御要望の以前火葬した猫ちゃんのお骨を粉骨することに致しました。
2匹、以前に火葬していましたが隣で行った猫ちゃんの粉骨パウダーされた骨壺を見て、「これが良いね。」と考えていたみたいでした。
「粉骨が出来ますが。」と伝えると4寸の骨壺に入った猫ちゃんの覆い袋に入れた骨壺をこちら持ってきました。間違えてしまうといけないので一匹づつお預りして、粉骨パウダーにしてお返ししてから次の猫ちゃんの骨壺を受け取ることに致しました。
他で火葬したお骨は良く見ているのですが、今回も覆い袋に入れてある骨壺にテープで止めてありました。「これはもしかしたら。」と思いながら蓋を開けてみると案の上、骨壷の中のお骨は未だ黒い部分がかなり残っているお骨でした。
平成27年1月と書かれていましたので、火葬したのは丁度1年チョッと前の事ですから、火葬すれば良い時代を脱皮して綺麗な火葬をする時代に入ってきているのですが、まだこのお骨は旧態依然の「火葬したお骨は如何であれ、火葬してあれば良い。」と云うお骨でした。
粉骨をするときには、この黒い燃えカスがいっぱい入っていると、粉骨パウダーにした時に真っ白には成らずに灰色になってしまいます。
粉骨したお骨を比べればすぐに分かる色の違いです。
お客様には、この事があまり分からないほうが良いと思って、一つひとつ粉骨しては骨壺に入れて見せて袋に入れてお渡しする事に致しました。
こうすれば骨壺の中のお骨の色を比べる事は出来ません。
以前火葬したお骨が荒っぽい火葬でお客様がショックを受ける事を避けてやることに致しました。
二匹の火葬が既に済んでいるお骨の粉骨が終わり、暫くすると今日の猫ちゃんの火葬も終了いたしました。
お骨上げは、またご近所をお呼びしてお骨上げです。
真っ白でとても綺麗なお骨でした。唯、大腸に腫瘍と歯周病がありました。
病気はありましたが、20歳の猫ちゃんです。受皿の上に敷いてある網にもお骨が引っ付いていずに全くの老衰のお骨でした。
お客様も、病気を聞いてびっくりしていましたが、最後に「全くの老衰のお骨ですよ。」と言われて「良かった。」と胸を降ろしたように皆さんニコニコになりました。
この子は、ガリガリの猫ちゃんでしたが、お骨になってみるととても大きな猫ちゃんです。背骨も太くてガッシリしています。4寸の骨壺に入れましたが7分目程のお骨の量でした。
お客様は、この猫ちゃんも粉骨をご希望でしたので粉骨をしてお客様の前に骨壺に入れて持ってきましたが、とても真っ白で綺麗だったのがひと際良く分かったみたいでした。
「あんなにお骨は大きく見えても2寸の骨壺にゆったりと入ってしまうのですね。」と驚きの表情をしていました。
ご近所の皆様も綺麗な粉骨されたお骨を覗き込んでいらっしゃいましたが、色の違いが良く分かったみたいです。
ご近所総出の動物の火葬は、もうこれでこの場所では3回目です。
数を数えても、ご近所で皆でお見送りをする習慣があるみたいでした。
粉骨をする時点では、ご主人もお帰りになりまた人数も増えました。
綺麗なパウダーのお骨3つと祭壇に置いてこれから皆さんでお線香を上げてご供養をしてからこの猫ちゃんの火葬は終了する未定ですが、私たちは火葬が終了して粉骨をしたお骨をお渡しして帰路につかせて戴きました。
皆様で一緒にお見送りをするのっていいですね。
猫ちゃんもとても幸せだったことでしょう。