今日の火葬は、大変な事がおきてしまいました。
バグ犬の8.2キロの13歳のメス犬の火葬でしたが、一見するとお腹が大きくてとても太って見える犬ちゃんでした。
その為に通常10キロ位まではペット霊園で小型の火葬炉で火葬しているのですが、この火葬炉ではチョッと無理だと判断して大型の火葬炉で火葬する事に致しました。
大型の火葬炉の場合は、霊園内で火葬をしないことにしていますので10分ほど離れた場所で火葬してきます。
お客様は、一緒に行きたいと言っていらっしゃいましたので付いて行ってもらいました。
8.2キロですから大型の火葬炉でするのは全く問題ないのですが、出発して13分ほどして電話が入りました。
「発電機の紐が切れてしまったので、予備の発電機を持って来て欲しい。」と言う内容でした。
この様な発電機が使えない事故は初めてです。
でも、幸いなことに大型の火葬車には発電機が止まってしまっても大丈夫な仕掛けがしてあります。バッテリーから電気を取って使用する方法です。
以前、ボーダーコリーの55キロを火葬している最中に発電機のガソリンがなくなってしまって火葬炉に電気が行かずに止まってしまった事がありました。
その経験から、大型の火葬車にはどうしてもこの発電機が止まってしまった時に緊急に使える装置がどうしても必要でした。
6月末に引渡しをして貰った大型の火葬車には、この経験から発電機を使わなくても火葬炉を動かすことが出来る装置を搭載しているのです。
その為、発電機は利用できないのですが、立会っているお客様には「これから点火させて戴きます。」と言ってバッテリーから取っている電源で火葬を開始いたしました。
電話を受けた私の方は、利用していませんでした発電機のオイル交換をしてからガソリンを入れて実際に動かしてから持って行くようです。
この作業も落ち着いて行えば10分ほどで行えます。
でも、気持ちが焦ってしまっているのですね。時間的には殆ど変らない時間で終了したのですが、オイルもこぼしてしまったり、ガソリンも入れる時に何回も見ながらを繰り返すようでした。
エンジンを掛ける時もすぐに発電機のスタートの紐を引っ張りましたので、掛かりません。如何したのでしょう。
ガソリンが未だ十分に流れて来ていなくて掛からないのも分からない始末です。少しおいてから掛けましたら掛かりましたが、とても不安な時間でした。
この様にして火葬場へ発動機を持っていきましたが、お客様は火葬している車の所から10メートル位離れた場所で見ていらっしゃいました。
発電機を渡して、そのエンジンを掛けてから緊急のバッテリーから取っている電気をこの発電機に繋いで無事にこの危機を脱する事が出来ました。
そして、私が帰り際にお客様の脇に車を止めて今の現状を説明いたしました。
お客様は、突然私が車で来たので何があったのか不安に思ったそうでした。
訳を話すと、「そんな準備もしているのですか。」と感心していらっしゃいました。「通常でしたら火葬できない状況なのに全く問題なく火葬が進行で来ているのですね。」「良かったです。」と感心する事、しかりです。
私は、お客様に説明が終わると霊園に戻ってきましたが、火葬が終わった車の後を付いてお客様も少し時間が経ってから戻っていらっしゃいました。
お客様が到着してから、火葬炉の蓋を開けさせていただきました。
お客様は、「火葬炉を開ける所からずっと見ていたい。」と言うお客様でした。
「小さいね。」と言う声が洩れましたが、やはり太っていましたが、お骨になってしまうとこの程度になってしまうのです。
お客様の見ている前で、炉台の所からトレーに載せて礼拝所に運びました。お客様たちはその後に点いて来ています。
火葬したお骨は、真っ白でしたが肺に腫瘍があり、心臓と腎臓が悪かったです。
子宮の腫瘍を手術して取ったといっていましたが腫瘍の痕がありました。
お骨の説明にも頷いて聞いていらっしゃいました。でもお骨上げがしゅうりょうして最後に「網にお骨がくっ付いていないので老衰ですよ。」というと皆さん大喜びでした。
「随分太っていらっしゃいましたが、よく頑張った犬ちゃんですね。」と言うと「そうなんですね。」と頷いていらっしゃいました。
お客様には発電機の紐が切れてしまった事で特別な迷惑を掛けた訳でもないのですが、そのことを説明したことから、とてもお客様の信頼を得たみたいです。
お客様は、お骨上げが終了してお帰りになる時に「ココに来て火葬してもらって良かったです。有難うございました。」と頭を深々と下げてお礼を言っていらっしゃいましたが、とても確りと「お見送りが出来た。」と言う表情でした。
こういう緊急の場合も、難なく終える事が出来るのも今までのいろんな経験があるからなのでしょう。
毎日毎日が色々が問題があってもその経験を糧として、反省して方策を検討してそれを生かしていく事が今回無事に乗り越えられた事だと思っています。