今回火葬したうさぎの種類は、ネザーランドトワーフでした。
小さなうさぎちゃんで800gとお客様は申告いたしました。
この位のうさぎちゃんでも、火葬時間は30分ぐらい掛かります。今回も丁度30分で火葬は終了しました。
うさぎちゃんと猫ちゃんの火葬料金が同じなのは、火葬時間が殆ど同じなのです。
うさぎちゃんの場合は、脂肪分が少ないので中々燃え始めてくれません。温度を上げていって初めて燃え始めてくれます。
うさぎちゃんの火葬中の特徴は、頭のお骨が後ろに反りかかったままになってしまって戻ってこない場合が多々あります。
こう書きますと分らないかと思いますのでチョッと説明をさせていただきます。
私達の霊園では、火葬する時に正面の火口に向かって右ほっぺが下になるように寝かせて火葬することにしています。そのためにこの燃え具合とうさぎちゃんの姿勢を良く見ながら火葬をしていく必要があるのです。その訳は、当園の火葬炉の火の噴出し具合が向かって右側に強く出てきます。
そのために、頭を前にして火口から頭を左側に少しずらして火が頭に直接掛からないようにして、右側のほっぺを下にして火葬することにしています。この寝方は、頭のお骨の後ろ側から脳の中に火が入りますので、燃えずらい頭の中を完全に燃え尽くすことが出来る配置でもあります。
それと同時に頭に直接火が掛からないので、頭のお骨を優しく火葬することが出来綺麗に残すことが出来る利点もあります。
このような配置で火葬いたしますが、うさぎちゃんは火葬を開始すると頭を後ろに反らしてしまって火が下顎に掛かるような姿勢になってしまいます。
猫ちゃんなどは一旦このような姿勢になるのですが、燃焼が始まると元の位置に頭を戻してまいります。しかしながらうさぎちゃんはこの反らした姿勢のまま戻ってこない場合が多々あるのです。
戻らなくなったうさぎちゃんは、こちらの手で戻してやらなければなりません。
戻さないと顎のお骨や頭のお骨が内臓の部分の燃焼を邪魔をして燃えるのに時間が掛かるのと頭のお骨が大きいので裏側が燃えないで残ってしまいます。
始めに説明した姿勢に戻ったうさぎちゃんは、背中から燃え始め、内臓部分から後ろのお尻の部分と燃え始めてくれます。
ここで、問題なのが肩甲骨です。
肩甲骨は、横に寝かせてあるので45度ぐらいの角度でうさぎちゃんの体の中にあります。そのため火葬が進むに連れてこの肩甲骨が火の通り道を塞いでしまう場合が多々あります。
塞いでなければこのままの状態で火葬を継続しますが、塞いでいた場合はこの肩甲骨を前に倒して火の通りを良くしてやらねばなりません。
そのために、邪魔をしているのが分って心臓や肺の部分が燃え尽きた後に前に倒してやる作業をする必要があります。倒してやると火が確りと通って骨盤の辺りの燃えずらい部分まで火が通って綺麗にお尻の部分を火葬することが出来ます。
肩甲骨のお骨を前に倒してやる作業は、慎重にも慎重を帰してやる作業です。覗き窓から鉄棒を入れて他のお骨に当たらないようにしてやる必要があるのです。
そのために、覗き窓の所に鉄棒を置いて、そこを支点にして肩甲骨をめがけて鉄棒を伸ばして動かしてやると上手くいくのです。
こうして細かい配慮をしながら、うさぎちゃんの火葬を行いますが、うさぎちゃんの弱点は頭のお骨のお鼻の辺りが弱いことです。
このお鼻の辺りは、歯周病があるペットはこのお鼻の部分が掛けてしまうのですが、うさぎちゃんの場合は歯周病がなくてもかなり脆くなっています。
壊れるほどではないのですが、もう少しお鼻が綺麗になれば完璧なのですが。
火葬したお骨は、この部分が脆くなって終了しますがこの改善方法は未だに見つけていません。
又、今回も問題もありました。
本当に老衰でなくなったうさぎちゃんは、網にくっ付かずに火葬が終了します。でもお骨が若いうさぎちゃんは火葬中に網にお骨がくっ付いて離れなくなります。
これは、お骨の中の骨髄液が出てきて網にくっ付くのです。
このくっ付いたお骨は中々網から取ることが出来ません。そのために、ステンレスのへらの先でお骨を剥がしてやることが必要になります。
頭のお骨や、喉仏以外のお骨は、ヘラで剥がす時に割れてしまってもお客様自信も余り気になりませんが、頭と喉仏だけは綺麗に網から剥がしてやりたいものです。
今回は、頭のお骨が確りと網にくっ付いていました。
この頭を少しずつ廻りから剥がして行って頭のお骨が網の上で動くようになりました。そこでお客様にどうぞと頭のお骨を持ってもらいましたが、口先がまだくっ付いていてその部分が欠けてしまったのが、失敗でした。
いくら火葬が上手くできても、お骨上げで綺麗にお骨が骨壷に入れることが出来なくては、お客様の満足感も充足いたしません。
そのために最善の努力をして、このお骨剥がしをしています。
網を使わないでマットで火葬している業者もありますが、このように骨髄液が出てきたうさぎちゃんの場合は、マットの綿の部分が剥がれて付いてしまいます。
網とマットとでどちらが良いかですが、当園ではマットは使わずに網を使っています。
私達は、この網にくっ付いたお骨は慎重を期して剥がすことに寄って綺麗なお骨をお客様に提供することが出来ると考えています。
又、骨壷ですが、今まで2,5寸の骨壷を使ってきましたが、最近はこの骨壷を3寸の骨壷の使用の方が「お客様のためになるのでは。」と考えるようになりました。
2.5寸では、頭のお骨を少し斜めにして入れれば入りますが、チョッと窮屈です。3寸の骨壷ではゆったりと入れることが出来ます。
その為、お客様に選択してもらうことにしています。
家に置いて置くには、小さい2.5寸の方が場所もとりませんので良いと思いますが、3寸にするとゆったりと入れることが出来ます。
このようにしてうさぎちゃんの火葬からお骨上げまでの作業が終了します。色々と改善点がありますが、今までの10年間改善をしてまいりました。その経験の元に今があるのですが、まだ出来ていない事を確りと理解しながら尚一層の研鑽を積んでまいりたいと思っています。