礼拝所に安置した犬ちゃんは、そんなに大きく感じなかったのですが、火葬炉に載せた時に持ちかげて見るとやはり重かったです。
ダンボールの棺の中に、眠っているように安らかなお顔を拝顔させて戴きました。真っ白な毛並みでスピッツちゃんの二廻り位大きい犬ちゃんです。
「犬種は何ですか。」と聞くと「雑種です。」とお答えいただきましたが、この子はスピッツをベースにした雑種なのでしょう。
礼拝所でお葬式を終了して、火葬炉に運ぶ段になってお客様が、「ココが腫瘍です。」と背中の肩甲骨の所を指差しておっしゃいました。
本当に大きく腫れていて中にソフトボールの玉が入っているようにも感じる大きく腫れた背中をしていました。
お花でいっぱいに飾って最後のお別れをして、「お不動様の真言」で祈祷して納棺して出棺になります。火葬時間は概ね70分の予定しています。
大型車の火葬はペット霊園ではしないことにしていますので、10分ぐらいした所で火葬してもとってきます。火葬して戻ってくるまで90分から100分の時間が掛かります。
その間お客様は、ご自由に霊園でお花を見るのもよし、近くに散策に行くのもよし、銘々の思ったように時間をつぶしていただきます。
さて、火葬ですが、
この背中の大きく腫れた腫瘍が今回どの位綺麗に火葬が出来て、綺麗にその燃えたカスが残せて火葬が出来るかです。
火葬開始して暫くして、背骨の所の盛り上がっている部分がそのままの形で出てきました。肩甲骨と一体化しているような感じに見えます。
普通は、火葬炉の火葬している部分のお骨はあまり触らないようにしているのですが、今回は肩甲骨とその周りのお肉が邪魔をして後ろに炎が届かないので、少し横にずらさせて貰って火の通りを良く致しました。
また、その際肩甲骨を反転させて良く火葬が出来るようにも致しました。
これで、後ろに良く火が通って、肩甲骨の周りにある腫瘍の部分も綺麗に火が通るようにもなりました。
火葬も、18キロの癌が死亡原因の犬ちゃんの火葬とは思われないような火力が強くなって燃えています。途中で火葬炉の燃焼もスウィッチを切って自力で燃焼させる方法に変えて火葬を継続しました。
これは、この犬ちゃんが脂分の多い犬種である証拠です。
普通の雑種犬ではこれ程火力が強くなりません。やっぱり、スピッツが主体の雑種犬なんでしょうね。
今回は、火力が強く燃えているので火葬時間も短縮するかと思い始めました。 でも骨盤の廻りにあるお肉が燃え残っています。そこで、強制空気の導入をしてその部分が良く燃えるようにピンスポットで空気の注入を始めました。
その部分が、赤く光りはじめ燃え始めているのが良く分かります。10分ほどこの空気の注入で骨盤の部分の燃焼は終了しました。
通常は、これで火葬が終了するわけですが、前の方の火葬台の脇から火葬台の下に溜まっている脂分が燃えている炎が左右両側から噴き出しています。
18キロの雑種犬と思ってはいけないしるしです。
これは、大きくなったスピッツが脂分を多く含んでいる証拠なのです。この犬ちゃんはやっぱりスピッツです。こんなに脂が多いのですから。
「火葬時間が55分ぐらいで終了します。」と途中で報告しておいてのですが、この脂分の燃焼に10分かかり合計火葬時間は65分間でした。
ペット霊園に戻って車の火葬炉の蓋を開ける段になった時にお客様が戻ってきましたので、後ろのチョッと高台にあるベンチの所にお客様に行って貰ってこの蓋を開ける所から見て貰いました。
「あ、お骨の形をしている。」「小さくなっちゃうんですね。」と声を出して見学しています。
火葬台から大きなトレーにそのままの姿で移して礼拝所へ持って行き、そこで良く見て貰いながらご説明を担当のスタッフがさせて貰う手はずになっています。
礼拝所にお持ちしてお客様に火葬中の背中の腫瘍について説明をさせて戴いて説明の担当スタッフに変わることに致しました。
背中にある腫瘍は、肩甲骨を一体になっている真っ白くて石化した腫瘍でした。これは典型的な骨肉腫です。凄く大きくなっています。
お客様もこの現実を見てビックリしていました。
18歳も長生きした犬ちゃんですから、この骨肉腫を背負って頑張っていたのでしょうね。敬服します。
お客様も「良く頑張った。」と褒めてやっていました。
その後、他のスタッフがお骨上げを手伝って6寸の骨壺にゆったりと入れてお持ち帰りになりました。
お帰りの際は、「有難うございました。」とご挨拶を戴き、大事そうに胸の所に骨壺を抱えてお帰りになりました。
確りと成仏してくれることを祈念申し上げます。