18日に火葬した大型犬の後始末が大変でした。
お客様からのお電話でのご依頼ですと、20キロ位のラブラドールとの事で予約を受け付けました。
当日、訪問してラブラドールちゃんを見るとどう見ても40キロもあるようなラブラドールちゃんです。これには参りました。
お客様の許可を取って計測させて戴きましたところ、何と37キロもありました。今回この37キロの火葬するための準備をして来ていません。
お客様が20キロと言っていたのでその20キロの犬ちゃんの火葬をする準備でお客様を訪問しています。
如何しようかと迷いました。
準備が整えるのに時間が掛かります。火葬炉にもうラブラドールちゃんが載ってしまっているのですから何とかこの準備を出来る範囲でしてから火葬をすることに致しました。
今回は、何分夜間の火葬でしたので時間は十分とることが出来ますので、時間を掛けてゆっくりと火葬をすることに致しました。
出来るだけの準備をした後に、お客様にも迷惑の掛からない場所へ移動して付いて来てもらう事にして場所の変更です。
夜間の事もあって今回の火葬では、煙突から火柱が出る事が一番心配です。
いつもは、煙突を付けないで火葬が出来る構造になっているので付けないで火葬をしているのですが、今回ばかりは確りと煙突も付けての火葬をすることに致しました。
通常なら確りと準備をして火葬に臨むのですが、今回は出来る範囲での準備ですのでより慎重にならざるを得ません。
今回の火葬で心配点が下記のようなことが考えられます。
1.S火葬の準備が不十分なので過燃焼を起こす危険がある。
2.夜間火葬なので火柱が出る可能性がある。
3.炉内の隙間を埋めて来ていないので臭いが火葬炉に残る心配がある。
火葬は出来ますがこの3点が問題です。
この3点を確りとクリアーしながら火葬をしなければなりません。
中でも37キロと通常25キロ位が平均ですからそれより5割増しの体重のラブラドールちゃんですから一旦火がついてしまうと大変な事になりますのでこの過燃焼が一番問題です。
そこで、火葬方法と脂出しに1時間、燃焼に1時間、溜まった脂の燃焼に1時間と時間を予定して火葬に入りました。
20時50分から火葬を開始して20分後から脂出しの燃焼に入りました。点火した当初はS火葬が効いていますので温度が上がりません。
この20分ぐらいしてからが問題です。
430℃、500℃、550℃、550℃、550℃、600℃、650℃、700℃の温度で燃焼を止めて脂出しをしていきます。
この温度で一次火葬炉に点火しているスウィッチを切ると60℃から100℃位は上がった所で温度が下がってきます。
この下がってくる温度と炉内の火の燃え具合を見ながら、タイミングを計り次の点火を致します。火を付けたり消したりの繰り返しです。
大体一つのストロークが5分から7分ぐらいの間隔で脂出しをするのです。
21時44分に700℃で消して45分に751℃迄上昇して、47分に650℃で点火するまでの約1時間で脂出しは完了です。
そこから燃焼を開始いたしました。第一関門の過燃焼がおきる部分を通過いたしました。
ここからは、火柱の心配の部分になります。
始めは、低燃焼で行いますが、未だ2次の火葬炉も点火したままですのでチョッと威勢が良く燃焼し始めると煙突から火柱が出てしまいます。
外に出て煙突を見ながら燃焼をさせていきます。
チラチラと火が見え始めると「火柱が立つよ。」と言う合図です。
ここで、燃焼を止めて空気をいっぱいに取り入れて温度が下がってくるのを待つのです。
脂出しと違って一次火葬炉のスウィッチを切るとすぐにチラチラは止んでくれます。
この作業を何回か繰り返して行くのですが、炉の中では綺麗な透明な火が炉内を充満しています。
この様にして遺体の燃焼も終了いたしました。
無事に火柱の問題もクリアーです。そして最後が燃え残った脂分の処理です。
炉内では脂が渦巻いて燃えています。
炉内にあるのは、真っ白になったお骨だけですが、そのお骨の上で火がグルグルと渦巻状態です。
この時点では、2次のスウィッチも切ってありますし、自動燃焼の体制にも入っています。1,121℃の温度で一次火葬炉の燃焼も止まり、1,110℃で点火されます。
22時35分に脂分の燃焼が大部分収まったみたいですが、もう少しの辛抱です。これからブロアーで空気の注入をして燃え残りを潰す作業に入ります。
22時50分燃え残りも収まり火葬は終了いたしました。
火葬炉を開けてみると未だ炉内で煙が出ている部分がありましたが、そこは水を掛けて消してお骨上げ移りました。
お客様も自分たちで綺麗にお骨上げが出来て持ち帰りです。
火葬車の後ろで火葬の終了をずっと2時間待っていてくれたのですが、晴れて綺麗なお骨を見る事が出来ました。
唯、このラブラドールちゃんの頭は、お客様が持った瞬間に割れてしましました。糖尿病だったかもしれません。体重も可也大きくて脂が凄く載っている犬ちゃんですから糖尿病も考えられます。
又、お客様はこの犬ちゃんは「人に殴られてから具合が悪くなって死んでしまいました。」と言っていましたがマサカと思いますが、それで頭蓋骨が割れてしまっていたのかもしれません。
後のお骨はとても綺麗でした。
お骨上げの最中に火葬炉の冷却をしていたのですが、脂分の煙は出ていました。
この煙の出ているのが問題で後に臭いが残ってしまったのです。
火葬している最中の車が前下がりで駐車して火葬を致しました結果、ラブラドールちゃんから出てきた脂が火葬炉の下に落ちてしまったみたいです。
又、炉の中の受皿と炉台の間に脂分が浸み込んでしまってその脂分が燃えきらないで臭いの元の煙が出ていたのです。
当日火葬した後に火葬炉の操作室に浸み出て来た脂分は布で拭き取って綺麗にしたのですが、炉の下に溜まっているのかもしれませんが次の日も浸み出て来ています。
車からは、外に臭いが出ないようになっているのですが、炉を開けると強烈な臭いではないのですが、出て参ります。
この大型犬の火葬後に2度中型犬を火葬したのですが、中型犬の火葬後にも少しずつ煙が未だ残っているのです。
本日は、ミニチュアダックス9キロとのダックスフンド13キロの火葬の時間も時間を延ばしてこの火葬炉に残っている脂分の燃え残りの脂も燃焼するようにいたしました。
しかしながら、この炉内の隙間に入り込んでしまった脂分は中々取れません。
仕方ないので、火葬炉の空燃焼を時間の許す25分間続けました。それでかなりの脂分が取れたと思います。
準備不足で火葬した後の後遺症は、この様に残ってしまいます。
この間のお客様方には、少し炉の臭いが出ていてご迷惑を掛けたかもしれません。
幸い、お客様たちからのクレームはありませんでしたが、私たちはかなり敏感になっているせいか、少しの臭いでも気になるのです。
今回の失敗は、脂の燃え尽きるまでの時間を1時間と考えていたのですが、脂の燃え尽きるのが早く感じてしまって覗き窓のすぐ下で燃えているのが分からなかったことです。
脂の燃え尽きる時間が以前は長くて困っていましたのですが、火葬炉を改良して溜まった脂分が早く燃え尽きる事が出来るようにしたので大丈夫だと思ってしまったのです。
こうして、一旦臭いが浸み込んでしまった臭いを取るのはとても大変な作業になります。
お客様や近隣の皆様にご迷惑を掛けないように、色々と事前の準備を確りと行い気を使って日時の業務を遂行していきたいと思っています。